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2024/04/20

高齢になってからの更地の管理

私の母は、結婚してから埼玉に住んでいました。

母の実家は宮城県松島市にあり、祖父母は二人暮らし。

祖父が亡くなってからは祖母が一人暮らしをしていましたが、やがて高齢になり1人では生活が心許なくなってきていました。

私の母は三姉妹で、母が長女です。

三姉妹が変わるがわる宮城の祖母宅を訪ねて、高齢の祖母の面倒を見て帰る、という生活を何年もしていました。

東日本大震災が起こる前年に、祖母は自宅の浴室で大腿骨骨折のけがをしてしまい、それを期に祖母は埼玉の高齢者施設に入所し、祖母宅は空き家になっていました。

そんな折に東日本大震災が発生し、空き家になっていた家は津波に飲まれて被災。

1階は大人の胸の高さくらいまで津波で浸った跡があったそうです。

祖母は骨折したことによって罹災を免れました。

その後、母は被災した実家の跡片付けに奔走することになりました。

祖母は急遽埼玉の高齢者施設に入ることになったので、家の片付けは一切していない状態です。

その後、必要なものを取りに母や叔母等が数回実家を訪れたのみでしたので、家財はそのまま。

まずは大事なものを取り出して、廃棄するものを分けたり、家に入り込んだ汚泥を掃除したり、ボランティアの方々に助けていただきながら片付けを進めたそうです。

その時母は60代後半になっていて、とても大変だったと聞きました。

私も手伝いにと思いましたが子供が生まれたばかりで中々都合がつけられず、一度も行かないままでした。

その後、市区町村が解体費用を負担してくれるということで、建物を解体。

解体後も売却しないまま所有していたので、その更地を管理する必要がありました。

更地は何もしていないと本当に草がボウボウに茂ってしまうので、年2回は地区のシルバーセンターに連絡して草刈りの依頼。

固定資産税の納付やご近所の方へのご挨拶、など年に数回とはいえ、高齢になってきている母には相当な負担だったそうです。

更地にしておいても、三姉妹の誰かが戻って家を建て直して住むということもないことが確定していたため、売却した方が良いという意見の母と、「実家」という心の拠り所を失いたくないという叔母の間で意見が対立し、売却に踏み切れないまま数年がたち、やっと重い腰を上げて売却の準備をしていた矢先、祖母が認知症と診断。

不動産物件の所有者が認知症を発症した場合は簡単に売却ができなくなることを、その時初めて知りました。

認知症の度合いによっては取引できるケースもあるそうですが、ケースバイケースだそうです。

ですから、家じまい、実家仕舞いをしようとしている場合はこの点にも注意が必要だということです。

私の祖母のケースでは、この時点で売却できないことが決定してしまいましたので、購入希望者がいらっしゃったにも関わらずその時点では売ることは出来ませんでした。

祖母が亡くなって相続が発生した時にようやくまたこの更地を売却できるタイミングがきました。

すぐに売却の手配ができるかと思いきや、家族間でまた新たな問題が発生し、最終的に売れたのは震災で被災してから10年も経過してからになったのでした。